ARTIST INDEX

■ CDS&RECORDS [2/10]
マドンナ
「Madonna/Beautiful Stranger」(1999年 USA)

 人気おバカ映画の2作目「オースティン・パワーズ:デラックス」(原題:Austin Powers The Spy Who Shagged Me)の主題歌。 Madonna自身とWilliam Orbitの共同プロデュースで、レトロ感たっぷりのメロディをデジタルサウンドで上手くパッケージしています。 その中でもカギを握るのはChamberlin Fluteの導入で、ビブラートの掛かった独特のサウンドが一気に1960年代末期へ時間を巻き戻しています。

2008年6月1日
マーク・ボニーラ
「Marc Bonilla/EE Ticket」(1991年 USA)

 Ronnie Montroseに見い出され、Keith Emersonによって陽の目を見る事となったギタリスト、カリフォルニア出身Marc Bonillaの1stアルバム。 Keithのソロアルバム「Changing States」(1989年録音、95年リリース)にもゲストで参加していて、近々発表される新作にも参加しているらしい。 そしてプロデュースは「Changing States」と同様、GIRAFFE(Progfest'94で眩惑のブロードウェイをカバー)やTOY MATINEEでお馴染みのKevin Gilbertが担当。 Steve Lukatherを彷佛とさせるハード且つテクニカルなプレイで、いかにも西海岸系のカラリと乾いたギターインストアルバムになっています。 Keithは1曲でピアノをプレイするのみで、他のキーボードはKevin Gilbertが担当し、「Hit And Run」「Hurling Blues Skyward」でPianoやClavinettに混じりコッソリMellotron Choirを使用しています。

2008年5月30日
ピート・ウイングフィールド
「V.A./The Island Story」(1987年 UK)

 1987年のアイランドレーベルコンピレーションアルバムに、Pete Wingfieldの大ヒット曲「Eighteen With A Bullet」(邦題:あこがれのヒット・チャート)が収められています。 シンガーソングライター、キーボードプレイヤーである彼の1stアルバム「Breakfast Special」(1975年)がオリジナルリリースの、ファルセットヴォイスが特徴的なソウルミュージックのパロディ。 前年にデビューした10cc「Jonny,Don't Do It」(邦題:いけないジョニー)に良く似た黒っぽさです。 サビのバックをゴージャス且ついかがわしく飾るのはMellotron 3Violinsで、このニセモノ感覚が笑ってしまうほど上手くハマッています。

2008年5月30日
クォフ
「QOPH/Pyrola」(2004年 SWEDEN)

 1998年デビュー、70年代型4人組ハードロックバンドの2ndアルバム。 サザンロックのような男気溢れるヴォーカルとゆるめのグルーヴ感が骨太な作品で、MoogやTheremineなどの味付けが薄暗さとサイケ感を加えています。 注目はANEKDOTENのNicklas BarkerがMellotronでゲスト参加した「Korea」と「Moontripper」で、どちらもストリングス系の音源を使用していますが、このか細さは彼が好んで使用するMellotron Solo Violinの様に聴こえます。 神経質なほど繊細なMellotronサウンドが曲に緊張感を加えています。

2008年5月26日
スラックアリス
「SLACK ALICE/Slack Alice」(1974年 UK)

 女性リードヴォーカルAlice Springを擁するパブロックバンド。 ストレートな(安っぽい)ロックンロールを主体にしながら、演劇チックなAliceの歌唱や場違いなほど劇的なMellotronの使用など、かなり特異なサウンドを聴かせます。 「Garavelstone Cottage」では中低音域のほとんど無いヒステリックなMellotron Stringsが、「Slack Alice」ではそれまでの曲調とは激変させる衝撃的なMellotron Stringsが、また男性陣がヴォーカルをとるアルバムラスト「Na-Me-Nihcam(Soldier Of The World)」では曲の頭から終始Mellotron Stringsが鳴り続けます。 KESTRELのJohn Cookとは同名異人のキーボーディストが操るのはMellotron MARK IIでしょう、メロトロンロックのアルバムとして絶賛すべきものだと思います。

2008年5月3日
タヒチ80
「TAHITI 80/Puzzle」(2000年 FRANCE)

 2000年に世界配給されたフランスは4人組ポップグループの1stアルバム。 1998年、スウェーデンの人気プロデューサーTore Johanssonをミキサーに据えて制作され、透明感のあるアコースティックロックをベースに、ほどよくブレンドされた電子音やヴォコーダーなどのエフェクトが今風なサウンドを形成しています。 「I.S.A.A.C」「Revolution 80」では、かなり目立つMellotron Fluteが登場し、優しいサウンドで爽やかさをプラスしています。 「Swimming Suit」でも怪しいストリングスが出て来るのですが、これはゲストメンバーによる生ストリングスによるものでしょうか。 メンバー4人全員にキーボードのクレジットがあります。

2008年5月3日
スージー・クアトロ
 兄のMichael Quatroはプログレコミュニティで良く紹介されているので、当サイトではまずSuzi Quatroから先に取り上げましょう。

「Suzi Quatro/Suzi Quatro」(1973年 USA/画像左)

 フォーク調のデビューシングルが不発に終わり、ハードロック路線へ変更しヒットした1stアルバム。 音はストレートなロックンロールなのですが、黒のレザースーツで大きなベースを振り回しシャウトする女性シンガーはやはり衝撃的だったのでしょう、帯や解説には「サディスティック」「背徳」「アブノーマル」など過激なコピーが目白押しです。 ミドルテンポの怪しいナンバー「Skin Tight Skin」では、キーボードのAlastair McKenzieが、コロコロしたエレピと共にMellotron 3Violinsを大胆に導入しています。 よれよれでヒスノイズの凄いMellotronサウンドは、シンプルな演奏ながらアンサンブルの中で最も存在感があります。

「Suzi Quatro/Quatro」(1974年 USA/画像右)

 「Wild One」などのヒットシングルを含む2ndアルバムは、前作に比べロックバンドとして格段に成長している事が窺えます。 T.REXのようなブギーナンバー「Savege Silk」では、Alastair McKenzieの演奏するMellotron 3Violinsがメタリックな怪音を出し、オルガンの派手なグリッサンドを経てMellotron Fluteのソロまで披露します。 Suzi QuatroとMellotronは、かなり相性がいいですよ。

2008年5月3日
Pronounced Leh-Nerd Skin-Nerd
「LYNYRD SKYNYRD/Lynyrd Skynyrd」(1973年 USA)

 ALLMAN BROTHERSバンド等と並ぶサザンロックの人気バンド。 Al Kooperに見い出され、自らのレーベルSounds Of The Southから第一弾としてリリースされたのがこの1stアルバム。 「Tuesday's Gone」ではベースとメロトロンを兼任するRoosemelt Gookが、シングルヒットとなった「Free Bird」ではキーボードのBilly PowellがそれぞれMellotron Cello、Stringsを大量導入。 アメリカ南部特有のアーシーなサウンドに、Mellotronの荒涼としたサウンドが本当に良くマッチしています。 Al KooperのMellotronモノにハズレ無し、必聴。

2008年5月3日
ショコラータ
「CIOCCOLATA/Cioccolata」(1985年 JAPAN)

 ヴォーカリストかの香織を中心としたアヴァンギャルドポップバンドの1stアルバム。 イタリア語歌詞をメインにした攻撃的な作風は、いわゆる渋谷系の走りとなり今でも突出した個性があります。 4曲目「Danza」ではMellotron 3ViolinsとFluteが使用され、時流とは隔離された独自の世界をしっかり演出しています。 同曲は当時、資生堂タクティクスのCMソングに使用されていたようですので、テレビからもこのメロトロンサウンドが流れていたことでしょう。 キーボードは渡辺蕗子で、Mellotronの他にEmulatorなどもクレジットされています。 プロデューサーはMOON RIDERSの白井良明で、同じ85年リリースのMOON RIDERS「Animal Index」との共通性を感じます。

2008年5月3日
岸辺にある家
「SAINT JUST/La Casa Del Lago」(1974年 ITALY)

 女性ヴォーカリストJane Sorrentiを擁する5人組の2ndアルバム。 スパニッシュギターと生バイオリンで華麗に表現する部分もあれば、ゴリゴリしたベースと意外にエレクトリックなキーボードがロックに接近してみたり、テンションの高いヴォーカルが入れば泥臭さが全面に出たりと、様々な要素が混在しています。 11分を超える2曲目「Nella Vita,Un Pianto」では穏やかなギターのアルペジオに導かれ、冒頭からMellotron Celloがアタック音もそのままに重奏し、その上を生バイオリンとJaneのハイトーンヴォイスが歌います。 フラメンコ調にテンポチェンジする後半からは、Janeは情熱的なスキャットとなり、Mellotron 3Violinsの援護を受けます。 終盤はスパニッシュギターのソロと、チターのきらびやかなサウンドに合わせMellotron 3Violinsの大量導入。 Andrea Faccendaが使用するのはMellotron MARK IIでしょう、オフマイク気味に録音された壮大なメロトロンサウンドは、このアルバムのハイライトです。

2008年5月3日
トッド・ラングレン
「Todd Rundgren/Todd」(1974年 USA)

 同年よりUTOPIAと平行して活動する事になる音の魔術師、Todd Rundgrenソロ名義の5作目。 前作「A Wizard A True Star」(魔法使いは真実のスター)でも数曲でMellotronの使用がありましたが、本作では「The Last Ride」の1曲のみ。 地味なブギー調の曲ながら、じわじわと湧き出てくるMellotron Stringsは重量感があり、聴き応えは十分。 2枚組作品に溢れたアイデアは底が見えず、あらゆる音楽ジャンルを自由に行き交う様子はあまりにエネルギッシュで恐いくらいです。

2008年5月3日
ベンチャーズ・ポップス・イン・ジャパン'73
「THE VENTURES/Pops In Japan '73」(1973年 USA)

 1973年7月の来日公演を記念し、日本のヒット曲カバーとオリジナルを合わせ14曲を収めてリリースされた作品。 73年だけでも様々な形で11枚ものLPが発売されていて、当時の過熱ぶりが窺えます。 レコードに針を落とせば1曲目「学生街の喫茶店」(ガロ)からいきなりのMellotron登場でブッたまげます。 イントロからさざ波のように鍵盤を速弾きしたMellotron Stringsの異常な空気で始まり、オルガンソロのバックも含めて曲中出突っ張り。 エンディングにはMellotron StringsをバックにMellotron Fluteが歌う場面があり、そこはお世辞抜きにKING CRIMSON「Epitaph」のエンディングと重なります。 続く「喝采」(ちあきなおみ)でも、マンドリンのようなギター奏法のバックへMellotron Stringsがやたらと鳴り続け、地中海ポップスな気分のままMellotronの音でエンディングとなります。 「瀬戸の花嫁」(小柳ルミ子)でも、イントロから甘いMellotron Stringsが鳴り続け、気分は瀬戸ではなく地中海イタリアンポップスなムード。 アルバムラスト「恋人よ飛んでおいでよ」(ラブサウンズ主題曲で、セルジオメンデスもカバー)では、Mellotron StringsがDavid Bowie「Space Oddity」よろしく飛ばし、Fluteがアタック音もモロ出しでリードします。 テンポアップした終盤からはまたもやMellotron StringsとFluteの重奏になり、メロトロンマニアは気絶すること間違いありません。 レコーディングは恐らくアメリカ本国でしょう、Mellotron MARK IIを使用したものと思われ、その音の豊かさはM400Sの比ではありません。 シンプルなギターインストの中で、Mellotronだけ明らかに異次元の音を発しています。 最近のデジタルサンプラーに慣れた耳には、あまりに衝撃的な本物のメロトロンサウンドを堪能できます。

2008年4月30日
バイロトロン
「EARTHSTAR/French Skyline」(1979年 GERMANY)

 ゲストを含む総勢10名に及ぶ、ドイツ、アメリカ混成エレクトロユニットの1stアルバム。 TANGERINE DREAMを標榜したシンセサイザー作品で、プロデューサーにはキーボードを担当する中心人物のCraig Wuestに加え、Klaus Schulzeも名を列ねています。 まず目に付くのは、キーボードのクレジットで、Moog Minimoog、Polymoog、Modular Systems & Sequencer、Oberhaim Synthesizer Sequencer、Polyphonic YAMAHA、P.P.G. Modular Systems、1020 Synthesizer、Korg K2 Synthi、Roland SH-1000、EMS Synthi-A、Elka String Synthesizer、ARP 2600、Omni2、Odyssey、Avatar、Prosoloist、Mellotron、Birotron、等々、膨大な数がリストアップされています。 A面すべてを使った組曲「Latin Sirens Face The Wall」は、Klaus Schulzeのスタジオでレコーディングされていて、冒頭からBirotron Choirが一気に悲鳴を上げます。 これが延々と流れる中、シンセシーケンスが重なりリードシンセが歌う様は、70年代後半のTANGERINE DREAMそのものと言って良いでしょう。 途中Mellotron Stringsも登場し、Birotron Choirの音の壁は最後まで途切れる事無く重奏を続け、ループテープの真価を発揮しています。 フランスレコーディングとなる明るい曲調のB面1曲目「Splendred Skies And Angels」では、イントロと曲中にうっすらと、そしてアウトロにはっきりとChoirが使用されています。 こちらもひたすら持続するChoirなので、やはりBirotronが使用されたものと思われます。 シンセサイザーに埋没させる事無くBirotronの特性を生かした作品として、資料的価値があるでしょう。

2008年4月30日
西暦一九九九年
「青木望/1999 A.D.」(1974年 JAPAN)

 「ノストラダムスの大予言」「日本沈没」など、世紀末ブームの波に乗ってリリースされたコンセプトアルバム。 作詞作曲編曲からプロデュースまですべてをこなしたのは、当時のニューミュージック界ではおなじみの青木望で、この作品でのクレジットはNozomi Aoki & Magnitude 8とネーミングも終末感たっぷり。 帯には「一九九九年の恐怖を、メロトロン・シンセサイザーを駆使し、全曲オリジナル作品で表現!」とあり、レコード番号も「AD-1999」と抜かり無し。 電子音楽本でも度々紹介されていることから、シンセサイザーアルバムを想像しますが、基本はバンド構成のポピュラー、クロスオーバーに、シンセの飛び道具と渋い女性ヴォーカルを加えた曲を、ナレーションによるストーリー仕立てでパッケージしたものです。(ナレーション及び歌詞は全編英語) アルバム1曲目「Opening」(オープニング)ではシンセの重奏に合わせ、Mellotron Cello、3Violinsが沈痛な音を披露します。 特にMellotron Cello独特の低音部が、シンセに負けじとビリビリ響きわたる様は、今後の展開を否応なく期待させます。 ナレーションとゴスペル調のナンバーを経て「Prayer」(祈り)では、ゆったりとしたシンセシーケンスの上を、まさしく祈りを捧げるかの如くMellotron Choir、3Violinsがひたすら流れ続けます。 その後、イージーリスニング風のインストやチャールストンのようなコミカルなナンバーを経てアルバム終盤「Just Follow Me」(私にまかせて)、「Peace Of Mind」(心のやすらぎ)でも、Mellotron 3Violins、Choirが使用されています。 無力感漂うアルバム全体の印象や、試聴後の虚脱感が何かに似ていると思ったら、PINK FLOYD「The Dark Side Of The Moon」のそれに近いのです。 1974年という時代を踏まえると、これは流行の衣を借りたお手軽な企画モノでは無く、実は本格プログレッシヴ作品と捉えるべきなのかも知れません。

2008年4月30日
県相・喧騒・ケンソー
「KENSO/Kenso」(1985年 JAPAN)

 町田のレコードショップ「PAM」からリリースされた2枚の自主制作アルバムを経て、メジャーデビューとなった3作目。 初期に見られた日本の土着的な味付けは後退し、キメのフレーズを連発する洗練されたテクニカルフュージョン、ジャズロックへと変化しました。 オープニングナンバー「聖なる夢 I」(Sacred Dream I)では、複雑に展開する曲のブレイクへMellotron 3Violinsを挿入、続く「パワー・オブ・ザ・グローリー」(Power Of The Glory)では、テンポダウンする間奏へMellotron 3Violinsを導入しています。 「ノスタルジア」(Nostalghia)では、アコースティックギターのつま弾きに感傷的なオーボエが重なり、そこへMellotron 3Violinsが静かに力強く沸き上がります。 全体的には70年代末期のP.F.M.を更に精密にしたような印象の作品ですが、この曲だけは「Island」期のKING CRIMSONを彷佛とさせる異色作です。 すべてのMellotronを弾くのは、リーダーでギターの清水義央。

2008年4月29日
ドイツのEL&P
「TRITONUS/Tritonus」(1975年 GERMANY)

 キーボードのPeter K.Seilerを中心としたドイツのキーボードトリオ。 ドラムとベースの個性はあまり無く、キーボードの演奏いかんで楽曲のカラーがコントロールされています。 基本はEL&Pを模したオルガンロックなのですが、シンセサイザーの積極導入、そこへMellotronによる味付けを加えて、Keith Emersonを回避する努力を見せています。 A面1曲目の「Escape And No Way Out」では、オルガンメインの重厚な曲の途中にMellotron Brassを軽くかましてから、Mellotron Stringsの派手なソロまでキメています。 Mellotronが流れた瞬間から曲のカラーが激変し、Mellotronと言う楽器の強烈な存在感を認識させられます。 続く2曲目は突然アコギメインのボサノヴァだったり、3曲目はBEATLESのカバーだったりとバラエティに富んだ展開。 B面に入り「Far In The Sky」冒頭からチャーチオルガンの音圧に圧倒され、ビュンビュン飛ばすシンセとオルガンのアンサンブルによるバンドの真骨頂を見せられます。 中間からはMellotron StringsとBrassが猛威を振るい、派手なフランジングのドラムソロまで披露されます。 2曲目「Gliding」では、ゆっくりとしたベースシーケンスに乗せて冷ややかなMellotron Stringsがリードし、後半からはちょっと黒っぽいオルガンジャズへ展開して終了。 めまぐるしい曲展開ながら、どこか人懐っこさを残しているところがこのバンドの魅力でしょう。

2008年4月29日
マッスルビート
「MUSCLE BEAT/Muscle Beat」(1987年 JAPAN)

 元東京ブラボーのブラボー小松、元8 1/2の久保田真吾、泉水敏郎らが結成した、グラムテイストのハードロックバンド。 このパワフルなギターアルバムには「NO SYNTHESIZERS」の但し書きがされていて、唯一の鍵盤楽器としてMellotronが導入されています。 モロにT.REXな「暗い所へ」ではディストーションが掛けられているのでしょうか、火傷しそうなほど強烈なMellotron 3Violinsが炸裂します。 「Bed-Room Queen」では、イントロからまたも激しい音でMellotron 3Violinsが大爆発。 ドラマチックなバラードの「Love Song[蘇生]」では、曲の隙間を縫ってMellotron Cello独特の低音部が響きます。 Mellotronのクレジットには、ギターのブラボー小松、ベースのサンダーに加え、ゲストのKen Ishikawaが名を連ねていて、このバンドにとってMellotronが大変重要であった事が良くわかります。 ちなみにメロトロンの表記は「MEROTRON」となっています。

2008年4月29日
ムーンライダーズ
「MOON RIDERS/Nouvelles Vagues」(1978年 JAPAN)

 時代の空気を先読みし、現在も精力的に活動を続けるムーンライダーズの4thアルバム。 ヨーロッパ志向のウェットなポップソングを基調としながらも、レゲエやカリプソ、サンバの要素をさりげなく織り込んだ無国籍作品。 その後のニューウェイブ、テクノ化をも軽く臭わせるのは、大幅に導入されたシンセサイザーの仕業でしょう。 岡田徹さんのクレジットには、4種のピアノとYAMAHA CS-60、Mellotron、Oberheim、Moog B-III、Solina、鈴木慶一名義でVocoderがあり、プログラマーには松武秀樹がクレジットされています。 白井良明のシタールがアクセントに効いた「Dog Song」では、曲のド頭からMellotron Choirが鳴りはじめ、間奏では壮大なソロを披露しエンディングまでMellotron三昧です。 フレンチデカダン風な「夜の伯爵」では、武川雅寛の切なげなバイオリンに合わせ、怪しいMellotron Choirが大々的に登場します。

2008年4月29日
桃井かおり
「桃井かおり/TWO」(1978年 JAPAN)

 先頃、叙勲(!)される事が発表された個性派女優、桃井かおりのセカンドアルバム。 レコーディングに延べ6ヶ月掛かっている作品の参加メンバーは、First Memberにミッキー吉野らのグループ(=ゴダイゴ)、Second Memberに淡海悟郎らのグループ(彼のバンド、ミクロコスモスのベーシスト山口滋樹も参加)、Extra Memberとクレジットされるその他のメンバーという構成で、多くのミュージシャンが出入りしています。 「娼婦壱輪」(おんないちりん)では、サビのバックにMellotron Choirが流れ、間奏ではなんとMellotron Choirでソロをとり、エンディングまで無気味に雰囲気を盛り上げます。 18分を超えるコミカルなドラマ仕立ての組曲「銀色の車-組曲-」では、最終章「銀色の車のテーマIV」のエンディングにまたもMellotronが登場します。 ひとり気ままなドライブをする桃井さんに、いろいろな出来事が起きる(ドライブ中の妄想?)のですが、スピード違反を逃げて車ごと海へ落ちてからの最後のヴォーカルパートに、派手なMellotron Choirがエンディングまでバックコーラスを担当します。 曲ごとの詳細なクレジットはありませんが、聴き比べてみて両曲共に淡海悟郎さんがMellotronを担当しているように思われます。

2008年4月29日
吉田拓郎
「吉田拓郎/大いなる人」(1977年 JAPAN)

 小室等に代わりフォーライフレコードの社長に就任、浅田美代子と再婚するなど公私共に多忙だった時期にリリースされた作品。 キャンディーズへ提供した「アン・ドゥ・トロワ」をセルフカバーした事でも話題となりました。 鈴木茂の編曲になる「乱行」では、キーボードの山田秀俊さんがMellotronを大胆に使っています。 エレピやシンセストリングス、シンセベースが使われる中、サビに合わせて登場するのがMellotron 3Violinsです。 間奏ではメイン楽器として流し、終盤からエンディングにかけては原音がわからないほど強烈にコーラス、フェイザーを掛けられています。 ゆったりと流したり、細かくリズムを刻んだり、エフェクトの向こう側にMellotron独特の音のクセが聴き取れて実に楽しい。 改めてレコードに針を落とせば、イントロのストリングスもこの面白いMellotronサウンドであることが確認できます。

2008年4月29日
恋の魔法使い
「Leo Sayer/Endless Flight」(1976年 UK)

 THREE DOG NIGHT「The Show Must Go On」の作者としても知られる、英国出身のシンガーソングライターLeo Sayerの4thアルバム。 ウェストコースト志向の本作からは2曲の全米No.1ヒットを生み、次作では完全なシティポップス、AOR路線へシフトするきっかけとなった作品。 Jeff Porcaro、Steve Gadd、Lee Sklar、Lee Ritenour、Larry Carltonなど、ロサンゼルス名うてのミュージシャンをズラリとバックに従え、バラエティに富んだ内容に仕上げています。 Jimmy Phillipsをキーボードに迎えた「Magdalena」では、Mellotron Fluteがエンディングまでヴォーカルと併走します。 穏やかな曲調にのせ、Mellotron FluteがキラキラしたRhodesエレピに絡む様は、なんとも美しい。

2008年4月28日
MAR1LYN MAN5ON
「MARILYN MANSON/Mechanical Animals」(1998年 USA)

 言わずと知れたMARILYN MANSONの 3rdアルバム。 強烈なヴィジュアルと数々の噂を前に、どれほど常軌を逸した作品なのだろうと気構えて聴けば、至極真っ当なハードロックアルバムである事に驚きました。 プロデューサーが交代した本作ではそれまでのハードコアカオスはやや後退し、音楽的整合性のとれたメロディックな物へと変化したようです。 キーボードのM.W.Gacyは「The Speed Of Pain」の終盤でMellotron StringsとFluteらしきものを導入、また「Coma White」にもMellotronのクレジットがありますが判別が難しいです。 相当エフェクトが掛けられているのでしょうか。

2008年4月27日
TAI PHONG
「TAI PHONG/LAST FLIGHT」(1979年 FRANCE)

 多くのユーロロックバンドの中でも比較的人気の高かった、フランスはTAI PHONGの3rdアルバム。 最終作となる本作は、主要メンバーの交代後にレコーディングされており、音楽志向がやや拡散してはいるものの、テンションの高い作品になっています。 9分に及ぶ「Farewell Gig In Amsterdam」では、GENESIS「Chinema Show」を思わせる導入部を経て劇的なTAI PHONG節に変化して行きます。 キーボードのPascal WuthrichはHammond、Moog、Rolandエレピに混じり、同じくRolandのストリングスマシンをメインに使用していますが、曲展開のピークではMellotron Choirを派手に導入しています。 流麗なピアノソロから再びGENESISライクな局面を経て、終盤はサックスをリード楽器に迎えフュージョン的な演奏を披露してエンディングとなります。

2008年4月27日
映画「ハウス」
「GODIEGO/O.S.T. HOUSE」(1977年 JAPAN)

 大林宣彦監督作品、東宝映画「ハウス」のサウンドトラック。 池上季実子、大場久美子、神保美貴など若手女優7人組が、夏休みの旅行先で体験する不思議な出来事を描いた、ホラーチックなファンタジー映画。 ゴダイゴ名義で発売された作品ですが、クレジットは音楽:小林亜星、ミッキー吉野、演奏:ゴダイゴ他、歌:タケカワユキヒデ、成田賢となっています。 アルバム最後の3曲「西瓜売りのバナナ」「イート・イート・イート」「ハウスのふたり-ハウス愛のテーマ」では、Mellotron Choirが使用されています。 和テイストの怪しいナンバー「西瓜売りのバナナ」では、騒乱状態の音の中に、いわゆる冨田勲方式とでも言いましょうか、Mellotron Choirをループさせて延々と続く無気味なコーラスサウンドをが鳴り、続く小曲「イート・イート・イート」でも、その断片が繰り返されます。 元ビーバーズの成田賢がヴォーカルをとる「ハウスのふたり-ハウス愛のテーマ」は、生ストリングが重厚なバラードですが、エンディング近くにはやはりMellotron Choirを使って独特の絶頂感を表現しています。 当時はRolandの契約プレイヤーだったミッキー吉野さんですが、平行するゴダイゴ作品と同様コーラスサウンドにはMellotronを使用しています。 小林亜星さんも当時はMellotronを所有されていたそうですので、レコーディングに際し、使用楽器の話題も出たかもしれません。 また、それまでに担当した映画やテレビのサントラは映像先行の作曲だったそうですが、この「ハウス」は音楽が先行するという苦労があったようです。 シングルカットされたポップナンバー「君は恋のチェリー」から、ブギー、フュージョン、プログレッシヴなインプロヴィゼイション、そしてキュートな小曲から雄大なサントラまでバラエティ豊かな作風をこなすゴダイゴは、やはり並外れた実力があったのだと認識させられます。

2008年4月27日
ワーグナーは電子音楽家
「Adrian Wagner/Distances Between Us」(1974年 UK)

 ドイツの作曲家Richard Wagnerの末裔にあたる人だとかで、イギリスでは初期の電子音楽からシンセサイザーの開発まで係わる、作曲家、シンセサイザー奏者。 本作は個人名儀の1作目にあたり、様々な音楽的手法とシンセサイザーの奏法が試みられています。 シンセとテープコラージュのSEを経て、「Lying-Waiting-Dreaming-Thinking...」のオペラティックな歌唱とMellotron Strings、Choir、Celloの脅迫的なオープニングに呆気にとられます。 シンセサイザーの多重録音はお手のもので、リングモジュレーション、サンプル&ホールドなどの多彩な電子音をベースに、スペイシー、サイケデリック、ロックオペラ、サウンドコラージュを、縦横無尽に行き来する音像はまさしくプログレッシヴ。 「Messengers Of Morpheus」「Music Of Spheres」に大量導入されるMellotron Strings、Choirは感動的で、合間に挿入される鐘の音などもMellotronのSFX音源ではないかと思われます。 ヴォーカルはAdrian Wagnerと旧知の仲というHAWKWINDのRobert Calvertが担当していて、Mellotron Stringsの嵐の中、シンセがビュンビュン飛び交う「Stranger In A Strange Land」などはHAWKWINDのナンバーかと錯覚するほどの出来映えです。 ゲストミュージシャンには、Mel CollinsやMorris Pertらも参加しています。

2008年4月5日
GLASS
「GLASS/No Stranger To The Skies」(2000年 USA)

 Jeff、GregのSherman兄弟のを中心としたトリオ編成のシンフォニックロックグループ。 1973年〜78年にかけて録音されたスタジオテイク(DISC1)とライヴ(DISC2)を2CDにまとめた発掘音源集。 アメリカンバンドらしからぬ霧に霞んだ幽玄さは、Mellotronとスペイシーなシンセサイザーを多用したジャーマンシンフォニックロックに通ずる作品。 DISC1の4曲は、RhodesやギターのシーケンスにMellotronとシンセが歌う瞑想的曲調で、大変出来が良くメロトロンファンには積極的に聴く事をお薦めします。 1曲目「No Stranger To The Skies」では、ARP 2600に通したMellotron StringsやFluteが猛威を振い、続く「Give The Man A Hand」ではレスリースピーカーを通して揺らめくMellotron Stringsが陽炎の様。 3曲目「Domino」における荒涼としたRhodesとギターアルペジオの上を、ダブルトラックのMellotron Fluteが棚引く瞬間は、メロトロンシンフォの金脈を探し当てた喜びを感じ、続く「The Myopic Stream」での冷徹なMellotron StringsとCelloのアンサンブルに打ちのめされます。 DISC2は、組曲形式の「Broken Oars」を含め、全曲にMellotronをメインキーボードにした楽曲が並び、これでもかと詰め込まれたMellotron含有量に圧倒されます。 ピアノとドラム、ベースの編成で演奏される場面は意外にジャジーだったりして、その音楽性の幅広さや柔軟性にも興味を惹かれます。 メインでキーボードを担当するのはGreg Sherman。

2008年4月5日
Cuneiform Records
「DJAM KARET/Recollection Harvest」(2005年 USA/画像左)

 1989年のデビュー作からコンスタントにアルバムをリリースしている、アメリカンプログレッシヴバンドの2005年作品。 ロック色の強い前半5曲の「Recollection Harvest」と、アンビエントな後半6曲の「Indian Summer」の二部構成。 70、80年代KING CRIMSONへのコンプレックスを、ジャズ、フュージョンに織りまぜて培養しています。 精緻で冷徹なサウンドは、発売元のCuneiform Recordsがいかにも好みそうな音ですが、「Recollection Harvest」ではオフマイク気味にレコーディングされた生ドラムのライヴ感が全体に精気を与えています。 Mellotronについては2003年の前作まで、Syn-PhonicレーベルのGreg Walkerに借りたM400Sを使ったり、サンプルで代用していましたが、本作のレコーディングにあたり本物のMellotronを購入しました。(オフィシャルサイトには黒いMark VIの画像があります。) アルバムド頭からMellotron Stringsが無気味な雄叫びを上げて幕を開け、「Recollection Harvest」全曲にMellotron Choir、Flute、Brassの暗雲を垂れ込ませています。 「Indian Summer」はアンビエントでデジタルライクな面を強調していますが、こちらも1曲を除く他5曲にMellotron ChoirとMellotron 3Violinsが効果的に使用されています。 MellotronのクレジットはGayle EllettとAaron Kenyonの二人。

「NEBELNEST/Nova Express」(2002年 FRANCE/画像右)

 パンキッシュでノイジーなフランスの4人組プログレッシヴバンドの2ndアルバム。 KING CRIMSONの暗黒とMAGMAの疾走感を組み合わせたような騒乱状態で、1曲目から大暴走。 しかし安定しないドラムは酷く、裏へ入りそうなリズム感をごまかす様な猛スピードにはヒヤヒヤさせられます。 アグレッシヴさを全面に押し出し過ぎて、曲調が似通って聴こえるのは惜しいところでしょう。 脅迫的なMellotronと共に度々登場するコンボオルガン風の電子音に、洒落たセンスを感じます。 全5曲すべてに導入されるMellotronサウンドですが、StringsとViberaphone以外のChoir、Flute、Celloはサンプルです。 頻繁に登場するサンプルChoirの安定感と、ヨレヨレな生Mellotron Stringsを聴き分けるのも、一つの楽しみ方でしょう。 15分を超えるタイトルトラック「Nova Express」では、コード弾きに耐え切れずピッチの下がるMellotron Stringsや、猛烈な勢いのピッチベンド奏法、そこへ間髪入れずに挿入されるViberaphone、Celloの乱れ打ちでメロトロンマニアのお腹は間違い無く満腹になるでしょう。 キーボードはOlivier Tejedor。

2008年4月5日
Opeth
「OPETH/Damnation」(2003年 SWEDEN/画像左)

 1995年デビュー、スウェーデン製ゴシックデスメタルバンドの7thアルバム。 創作の勢い止まらず、ハードさを出し切った「Deliverance」(2003年)と、アコースティックな面を押し出した本作は、表裏一体の二部作品とも言えるアルバムになっています。 Porcupine TreeのSteven Wilsonをプロデューサーに迎え、末期PINK FLOYDやMARILLION、IQなどのようなダークながらポップな側面をも持つ、上質なプログレッシヴシンフォニックロックアルバムになっています。 もともと彼らは単なるデスメタルに収まらない音楽性を表現していて、そのジャンルの中では異端と言われていたようです。 本作はデス声無しのクリアーなヴォーカルである事も、デスメタル初心者の私がOPETHの門を開くには十分すぎる好条件でした。 アルバム1曲目「Windowpane」から、あまりにもベタなMellotron 3Violins、Chiorが登場して、メロトロンマニアなら誰しも心奪われるフレーズが目白押しとなります。 しかしながら、4曲にふんだんに使用されるMellotronはサンプルで、音の軽さは否めません。 強い陰影で独特の雰囲気を醸し出すSteven Wilsonプロデュース作品は、彼のバンドであるPorcupine Treeも同様に知的な印象が漂う好作品ですが、何故本物のMellotronを使わないのかと毎度の事ながら疑問です。 Steven Wilsonと(本物の)Mellotronの組み合わせは最高だと思っているのに。

「OPETH/Ghost Reveries」(2005年 SWEDEN/画像右)

 現時点での最新作である8thアルバム。 攻撃的なサウンドで幕を開ける「Ghost Of Perdition」から、デス声の濁流とMellotron 3Violinsの嵐...かと思えば、クリーンなヴォーカルと美旋律の緩急が随所に織りまぜてあります。 ツインペダルで機械的に連打するバスドラムとデス声は、私にとってパロディ以外の何ものでも無く失笑を禁じ得ませんが、メロディセンスは素晴らしく、これだけの要素を一曲にまとめあげる能力は、凡作を出し続ける他のプログレバンドに見習っていただきたいものです。 Mellotronはどうやら同郷のANEKDOTEN(Anna所有のMellotronか?)から借りたらしく、全曲しかるべき箇所で素晴らしい音を響かせていますが、サンプルも併用されているように聴こえます。 「Hours Of Wealth」でのMellotron Fluteとエレピのセンチメンタルな絡みから、凍り付くようなMellotron Choirへの展開や、「The Baying Of The Hounds」で使用されるMellotron Choir、3Violinsのスリリングな展開とその音圧には鳥肌が立つほど。 また、イントロから3Violinsがメインに使用される「Beneath The Mire」は、ZEP「Rain Song」を連想させてみたり、「Atonement」ではインド風サイケメロディをMellotronがリードしたりと、彼らの音楽的ルーツを垣間見る事が出来ます。 Mellotronを含むキーボードはSPRITUAL BEGGARSのPer Wibergが、リーダーMikael Akerfeldtがヴォーカル、ギター、Additional Mellotronを担当。

2008年3月29日
オランダのSAGA
「SAGA/To Whom It Concerns」(1979年 NETHERLANDS)

 現在も主要メンバーが「US」名義で活躍する、オランダのシンフォニックロックバンド。 ギターアンサンブルがメインの1曲を除く他4曲で、Guido Goebertusの演奏するMelltoronをタップリ楽しむ事が出来ます。 リリカルで幻想的な作風は、過剰な演出の無い正統派ブリティッシュロック志向。 ギターのアルペジオにブンブン唸るベース、Mellotronをバックに柔らかなモノシンセがリードを取る瞬間は、GENESISと錯覚してしまいそうです。 メインで使用されるのはMellotron 3ViolinsとChoirですが、オルガンに重ねられるMellotron Brassの低音部も絶妙な隠し味となっています。 タイトルトラック「To Whom It Concerns」でのMellotron 3Violinsソロ、アルバムラスト「Memories」で入れ替わり立ち替わり使用されるMellotron 3ViolinsとChoirの静的な力強さには、ジワジワと心動かされます。 地味ながら聴く度に別の味がする、良質なスルメ的シンフォニック作品。

資料提供 yes.t氏

2008年3月29日
LIFT 未発表音源
「LIFT/The Moment Of Hearing」(2001年 USA/画像左)

 1974年、メンバー5人の平均年齢が19才の時にレコーディングし、1977年にアナログ海賊盤500枚のみリリースされていた1stアルバム。(1990年マスターテープから初CD化) そして、1976年に活動拠点をニューオーリンズからアトランタへ移し、女性ヴォーカルを含む6人組へとメンバーチェンジした活動後期。 それら1974年〜79年までのマテリアルを網羅し、2001年にリリースされた作品。 YESやEL&Pの影響下にある軽快で覇気溢れる作風から、Renessance、Annie Haslamを思わせる上品な華やかさとウェットな叙情を押し出したスタイルへ変化しています。 キーボードのChip Gremillionは、1stアルバムで活躍したMellotron M400Sを新加入のギタリストMike Mitchellへ任せ、代わりにChamberlin M300とVAKO Orchestronを使用しています。 Chamberlin M300は、その後のMellotronにも受け継がれる事になる外部スピーカーと、上下方向に音源テープをサポートするフレームを初めて備えた35鍵盤モデル。 VAKO Orchestronは光学ディスク式のループ音源を備えたモデルで、恐らく発売になってすぐの時期でしょう。 また、同時期にMellotron M300も入手していたのですが、レコーディングには使用されなかったとの事です。 2001年にMIDIで再レコーディングされた「Wind Psalm」を除く他4曲には、無機的で乾いたOrchestron Strings、Choir、Fluteが多用されています。 特に「The Toast」では、Orchestron Strings、Fluteと共にChamberlin Choirが大きくフィーチュアされていて、Orchestronとは明らかに違うChoirを楽しむ事が出来ます。

「LIFT/LIFT Live 1975 "Inception"」(1975年 USA/画像左から2枚目)

 Chip Gremillion氏からこのサイトへ提供していただいた、完全未発表音源。 作詞は初代ヴォーカリストCountenay Hilton-Green、作曲Chip Gremillionによる26分30秒に及ぶ超大作。 1975年ニューオーリンズ時代のライヴで、カセット録音された音質ながら凄まじいテンションで作曲家としてもバンドとしても成長期にあった彼らの瞬間を捉えています。 この曲はバンド末期に一度モダナイズされながらもレコーディングされる事はありませんでしたが、後のアルバム「The Moment Of Hearing」に収録される事になる「Wind Psalm」の原形にもなりました。 このライヴのキーボードセットでストリングス系を賄ったのは、Mellotron M400SとVAKO Orchestronで、イントロからいきなりOrchestron Stringsが疾走し、そこへMellotron 3Violinsまで重なるというマニア垂涎の展開となっています。 変拍子を織りまぜた自在な曲展開はGENESISのような華麗さで、ギターはSteve Hackettばりのボリューム奏法にロングトーン、そしてヴォーカルが兼任する生のフルートやチューブラーベルズ等のパーカッションが曲に彩りを添えています。 また、軽快さを保ちながらもアメリカンロック臭がほとんどしないのも、この曲、このバンドの特徴でしょう。 中間部に大々的に登場するMellotron 3ViolinsとChoirは、テープの状態が悪く瀕死の音程で鳴り続けるのですが、それを補うように定速で唸りを上げるOrchestronにこれほど頼もしさを感じるのも珍しい例だと思います。 当時、この大曲をスタジオレコーディングしてリリースしていたら、SEBASTIAN HARDIEやENGLANDと同様に、高い評価を得られたのではないでしょうか。

 現在Chip Gremillionさんは、音楽業界からは離れて成功していらっしゃいますが、数年前から再び作曲に取り組み、交響楽団とのレコーディングにも挑戦するなど精力的に活動をされています。 多くの機材(キーボード、ギター、レコーディング機器)が備えられる自宅スタジオに、現在もLIFTのアルバムジャケットが飾られているのも、ファンならば嬉しくなる出来事でしょう。

(画像右から2枚目/Moogシンセサイザー各種とHammondオルガンを備える現在のChip Gremillionのスタジオ)
(画像右/壁面左にはオリジナルアナログ盤、右にはCD化された際のジャケットアートが飾られています)

資料提供
Chip Gremillion

2008年3月26日
SOPHIA
「SOPHIA/花は枯れて また咲く」(2004年 JAPAN)

 5人組ロックバンドSOPHIAの25枚目になるシングル。 イントロど頭から、Mellotronを模したストリングスサウンドの爆発にノックアウト。 Vintage Keysか何かのMellotron Stringsをベースに、オルガン系の音がレイヤーになっていて、コンプを掛けて中域を強調しているように聴こえます。 これがまたクセモノで、Mellotronでは無いのに、MellotronよりもMellotronらしく聴こえる音づくりになっています。 小さなAMラジオから聴こえるオーケストラのような独特の音で、メロトロンファンなら一聴して興味を惹かれる事は間違いないでしょう。 クレジットをよく見れば、プロデューサーはMellotronサウンド大好きな(はずの)、亀田誠治。 間奏はMellotronサウンドをバックに、バロック調のチェンバロまで登場して品の良いロックアレンジを聴かせてくれます。 そして最後まで分厚いMellotronサウンドに送られてエンディング...なるほど、これはやられた! キーボーディストは、自らもコンポーザー、プロデューサーとしても活躍する、都啓一。

情報提供 野本純司氏

2008年3月15日
ANTI-DEPRESSIVE DELIVERY
「ANTI-DEPRESSIVE DELIVERY/Feel. Melt. Release. Escape.」(2004年 NORWAY)

 この1枚のみを残して解散してしまった、ノルウェーのハードプログレッシヴバンド。 DREAM THEATERやOPETHのような現代的なハードロックのアプローチを、ヴィンテージキーボードで仕上げると言ういかにも21世紀型のスタイルは、パワーを全面に出したアメリカ志向的作品。 デビュー作とは思えない作曲力と演奏力で、完成度は驚くほど高く充実しています。 目まぐるしい曲展開の所々に女性ヴォーカル(メインは男性ヴォーカル)を配したりと、個性的なアプローチもしています。 メンバーのフェイバリットにはYES、GENESIS、LED ZEPPELIN、Frank Zappa、等に混ざり、ANEKDOTENやANGLAGARDの名前も挙がっています。 恐らく前述のバンドのファンであれば、申し分ない出来に誰もが納得するでしょう。 Mellotronも3ViolinsをメインにChoirも含め、全9曲中8曲に嫌と言うほどの暴風雨を浴びせています。 しかし、残念な事にMellotronはサンプル(Mellotron ArchivesのCD-ROMか?)なのが明らかで、耳の肥えたリスナーにはやはり物足りません。 キーボードはHaakon-Marius Petterson、雰囲気のあるジャケットデザインはOPETHなどを手掛けるTravis Smithが担当しています。

2008年3月14日
ALL ABOUT EVE
「ALL ABOUT EVE/Hits And Rareties」(1992年 UK)

 1988年のデビューアルバムから三作品を残しMercuryからMCAへ移籍する際、それまでの膨大なシングルから別バージョンと未発表曲をまとめてリリースされたベスト盤。 美人シンガーJulianne Reganを看板に、耽美で英国的な湿度を持ちながら、ハードな演奏もこなす守備範囲の広さは、当時低迷していたプログレ界を始め、かなりの人気がありました。 1987年にリリースされたシングル「Flower In Our Hair」のB面「Paradise」では、Julianne自身が演奏しているのでしょうか、Mellotronが導入されています。 シタールと鳥の声で幕を開けるマイナーな曲調に、Julianneのメランコリックな歌唱が雰囲気を盛り上げます。 生のストリングスも使用されていますが、低音部にはMellotron Celloが流れているようにも聴こえます。 徐々にテンションが高くなる終盤、グっと溜めた最後の最後Mellotron 3Violinsの冷たい雨が降り出します。 これでもかと言わんばかりのダメ押しに、これは降参せざるを得ない状況です。

2008年3月14日
もうチャリ坊なんて呼ばせない!
「Charlie Sexton/Charlie Sexton」(1989年 USA)

 ・・と言うキャッチコピーで2007年に新譜をリリースしたばかりの、Charlie Sexton1989年の作品。 そう言えば、デビュー当時はそんな風に呼ばれてましたな。 本作でも相変わらず切れの良い曲調と、苦み走った年齢不相応な声をしています。 SynthesizerにはLarry Fast、そしてPatrick WarrenをChamberlinに据えてレコーディングされています。 「Seems So Wrong」ではお得意のChamberlin Vibraphone、「I Can't Cry」「Question This」ではChamberlin FluteにバックのStrings系もそうでしょうか、アルバムラスト「Cry Little Sister」では途中にChamberlin 3Violinsのソロ、そしてフェイドアウトぎりぎりにもワンフレーズ残しています。 強烈なピッチベンド奏法など無く、Patrick Warrenにしては大人しい演奏で、マニアックさは皆無。 まあ、歌モノなのでいたしかたないところか。

2008年3月14日
春日井直樹ファースト
「春日井直樹/What In The Psychedelic World!?」(2003年 JAPAN)

 名古屋のライヴハウス「DAYTRIP」代表の春日井直樹が、自宅2階で、作詞、作曲、演奏、録音、プロデュース、ジャケットデザインに至るまでたった一人でやったという渾身のサイケデリックアルバム。 ヴィンテージ機材を使用した事もこのアルバムの売り文句になっていて、ギター、ベース、ドラムに始まり、シタールやテルミン、メロトロンもそのリストに挙がっています。 元々は「WATERS RECORD」というレコードショップをされていたそうで、私の記憶を辿ってみたら12年ほど前に行った事がありました。(確かHELDON「Stand By」を購入) 身構えて聴き始めたアルバム内容は、テープコラージュやシタールで味つけられた、至極真っ当なポップスで拍子抜けするほど。 宅録だからたかが知れてるだろうと思って聴くと、ビートルズやXTCばりのポップセンスで良く出来てます。 「MOTHER SKY」のL側に回転を落としたようなストリングスが微かに聴こえるのは、Mellotron 3ViolinsかCelloでしょうか、それともエコーに埋もれたオルガンか。 アルバムラスト「DAWN」のエンディングに出て来るストリングスはメロトロンでは無いので、あとはどれだろう。 明らかに鍵盤として聴こえるのはオルガン(YAMAHA YC-20)ばかりなのですが、メロトロンは何処に登場しているのやら?

2008年3月14日
アニメ関連
「The Best Of Seigaku Players V 不二周助/瞳を閉じて 心のまま 僕は君を想う」(2002年 JAPAN/画像左)

 2008年3月3日発売の週刊少年ジャンプ14号で、約9年の連載を終えた人気漫画「テニスの王子様」の登場人物、不二周助(声優:甲斐田ゆき)のソロシングル! 私立青春学園中学校テニス部で「天才」と呼ばれ、一時的に視力を失ってもテニスがプレー出来た等、数々の神業を持っているらしい...。 よっぽど人気があったのでしょう、主要登場人物一人一人がCDを出していました。 村上正芳編曲のこの曲では、サンプルのMellotron Fluteが、イントロと間奏でベタな苺畑を演奏しています。 甘酸っぱい青春ソングに、なんとも切ないMellotron Fluteはピッタリ。

「CooRie/光のシルエット」(2005年 JAPAN/画像右)

 長田直之脱退後、rinoのソロプロジェクトとなったクーリエの6thシングル。 アニメやゲーム関連のタイアップを多くやっているアーティストで、明るくキャッチーな曲調が爽やかです。 NHK-BS2のアニメ「絶対少年」の主題歌となったタイトルトラックのカップリングは、なんだかびっくりの「メロトロン」なる曲。 ギターのイントロを過ぎて、ほどなくMellotron Fluteを模したサウンドが、またもや苺畑なリズムを刻みます。 サビからはMellotron 3Violinsを模した、ちょっと線の細いストリングスサウンドが飛び出してきます。 曲のタイトルはこの音色選択を由来にしているわけではないでしょうから、少々幻想的なイメージで書かれた歌詞から来ていると思われます。 私の勝手な解釈ですが、これは「メロトロン的」な歌詞なんだと。(実際、歌詞にもメロトロンと言うフレーズが出てきます。) サンプラーで「メロトロン的」なサウンドが拡大したと思えば、歌詞のイメージも「メロトロン的」なものが存在する。 そのうち「お昼ごはん何食べる?」「えーっと、何かメロトロン的な物!」となったりして、今後更に「メロトロン的」な「何か」が増殖する予感がします。

2008年3月13日
音のインテリヤクザ
「HELDON/Agneta Nilsson」(1976年 FRANCE)

 HELDONのディスコグラフィーの中でも過渡期的と言われる4thアルバム。(邦題:HELDON 4) その後の音楽的変化から察するに、機械化されきる直前の温もりが、まだ残っているように感じます。 1曲目「Perspective I」には、Philibert RossのクレジットでMellotronとあります。 ゆっくりした電子シーケンスと重厚なアナログシンセの波の中にMellotronの音を探しますが、ハッキリ認識出来る音は見つかりません。 L側の低音部、ハーフスピード化したような太くぼんやりしたStrings風の音や、R側に時折顔を見せるFlute音の断片がそうかもしれません。 B面へ進み「Virgin Swedish Blues」にRichard Pinhas、「Psylocybine」にGeorge Grunblatt名義でMellotronのクレジットがあります。 前者はシンセサイズされたギターアルペジオと、フリップナイズされたロングトーンギターのバックに、Mellotron Cello特有の低音部がブリブリと鳴り続けます。 後者はファットなシンセシーケンスに、ハードなギターが被さる中を、またもやMellotron Celloでしょうか、プツプツと非常に短い音節でフレーズを繰り返しています。

「HELDON/Well And Alive In France Live In Nancy 1979」(2006年 FRANCE)

 7thアルバム「Stand By」発表の1979年は3月19日、ドラマーにFrancois Auger、ベースとメロトロンにPierrot Rousselを迎えて行われたライヴの実況録音盤。 5th、6thアルバムやソロアルバムからの曲も交えて演奏されています。 パーカッションを織りまぜた、汗が飛び散る人力テクノドラムの上を、Richard Pinhasの暴力的なギターが飛び交います。 CD2枚目、アルバムラストに収められたその名も「Mellotronic Dune Dance」は、病的なシンセシーケンスとパーカッションの中を、Mellotron 3ViolinsとCelloが徐々に徐々に唸りを上げ、19分にもわたる狂気の沙汰を演出します。 Richard PinhasにもMellotronのクレジットがありますので、もしかするとMellotronが2台あるのでしょうか、それとも3ViolinsとCelloの音が重奏になるのは、テープループの仕業でしょうか。

「Well And Alive In France Live In Nancy 1979」情報提供 agito氏

2008年3月13日
Epidaurus
「EPIDAURUS/Earthly Paradise」(1977年 GERMANY)

 女性ヴォーカルを含むギターレス、ツインキーボード5人組(ゲストで生フルートとギターも参加しています)の自主制作作品。 Gunther HenneとGerd Linkeの二人のキーボードクレジットには、それぞれにHammond、Mellotron、moogをはじめとする膨大な鍵盤楽器がリストアップされています。 1曲目「Actions And Reactions」から、圧倒的なMellotron Stringsと唸るリードシンセで音の壁を築き上げています。 音を外す女性ヴォーカルはなんとも惜しいのですが、目一杯の鍵盤量と甘いメロディで仕上げるド級シンフォニックサウンドは、自主制作とは思えぬ完成度の高さです。 ドイツ臭さを抑え、英国風にまとめられた作風はスムーズ過ぎる上、こなれたプログレ的フレーズの連続に、あざとさすら感じるかもしれません。 A面とB面で録音時期が違うようで、B面はヴォーカルレスでロック色が高く多少刺激的です。 Mellotronは全5曲とも3Violins、Choirの嵐で、どこを切っても美味しいMellotronサウンドにありつける事は間違いありません。

2008年3月13日
Coto En Pel
「COTO EN PEL/Holocaust」(1978年 SPAIN)

 スペインのKING CRIMSONと言われる、4人組COTO EN PEL唯一の作品。 雷鳴と雨、そして蝉の鳴き声のSEに始まり、KING CRIMSON「Moonchild」の即興部分を拡大したような導入部を経て、アルバムは幕を開けます。 ふくよかなベースや、一音一音、音を置いて行くスネアサウンドと独特のタムまわし等は、Chris SquirとBill Bruford両氏を擁する初期YESに近い印象を受けます。 明の部分はYES「Starship Trooper」、暗の部分は「Heart Of Sunrise」を模した様子がわかり、比較的ハイトーンなヴォーカルもYES寄りと分類したくなります。 いずれにしてもアルバムタイトルの通り、暗く鬱々とした静寂が曲の多くを占めていて、時折顔を出す美旋律にホッとさせられます。 キーボードのPep Llopisは、1曲を除く3曲へ、唸りを上げるシンセサイザーと共にMellotronを使用しています。 「Aura De Sons」のイントロにはキークリックも明らかなMellotron Flute、二部構成の「Halocaust」にはMellotron 3Violins、Flute、Choirが浮遊し、エンディングはまるでKING CRIMSON「Epitaph」のようなMellotron 3Violinsの絶望的なサウンドで息絶えます。

2008年3月13日
EASTER ISLAND
「EASTER ISLAND/Now And Then」(1979年 USA)

 1979年に自主盤でリリースされたオリジナルに、2曲の新曲を加えCD化されたもの。 変拍子を多用したバンドアンサンブルにヌケの良いヴォーカルと厚いコーラス、そして明るいシンセサウンドに決め手はMellotronという、YESやGENTLE GIANTの影響下にあるアメリカンバンド。 例えばその後のECHOLYNやSPOCK'S BEARD等との共通点は多く、アメリカ人はこの手が好きだし、得意なんだなと実感させられる。 1978年から録音を開始された作品である事を考慮すると、演奏力や曲の完成度は非常に高く、このバンド名や妙なカバーアートでなければもう少し評価をされたのではないかと思います。 デジタルシンセで新録音されたオープニングを経て、オリジナル1曲目はMellotron 3Violins、Flute、Celloの重奏から始まりました。 「Genius Of The Dance」でのMellotron Fluteのキークリックや、いかにも生Mellotronとわかる素晴らしい3Violinsのコードワーク、「Solar Sailor」「Winds Of Time」では騒乱状態を作るスリリングなMellotron 3Violinsの速弾きなど、ポップなメロディに乗せて軽快に聴き進む事が出来ます。 やはりMellotronを多用する、組曲「The Alchemist's Suite」の出来も秀逸。
キーボーディストRay Vogelには、Hammond C-3、Mini moog、Piano、Mellotronのプログレ四種(?)の神器のクレジットがあります。

2008年3月8日
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